学生開発の時間割アプリ波紋…個人情報流出懸念


大学の授業の時間割や休講の情報が一目でわかる、スマートフォンの人気アプリが波紋を呼んでいる。
全国18の国立・私立大学に広まっているが、学生らが起業した会社が大学に無断で開発したため、「個人情報が漏れる恐れがある」などと大学側が反発している。

 

学生が履修登録した授業の情報などは通常、大学から与えられたIDとパスワードで学内のシステムに接続して閲覧する。

 

一方、立命館大の学生サークルが2015年に開発したアプリ「Orario」は、ID、パスワードを登録するとシステムに自動接続し、本人の履修情報を集め、1週間の時間割にして表示してくれる。情報は随時更新され、休講や教室の変更もわかる。

 

Orarioを開発したサークルのメンバーは昨年6月、株式会社「Orario」を設立した。他大学の学生も加わり、立命館大主催のビジネスコンテストや横浜国立大のスマホアプリコンテストで賞を取るなど高く評価された。

 

同社によると、現在は、立命館大、横浜国大を始め、上智大、青山学院大など18大学別に、専用のアプリを無料提供。新年度が始まった今年4月だけで約6万回、ダウンロードされる人気という。

 

だが、開発は、大学側の承諾を得ておらず、同社は、各大学の在学生の協力でシステム内の掲示を閲覧しているという。また学生がアプリを利用する場合は、大学名や卒業予定年度、時間割の内容などの「利用者情報」が同社に送られる。

 

立命館大広報課は、「アイデアに賞は与えたが、学生のID、パスワードを外部のサービスに利用することは学内の規約上、認められない」と話す。同大の上原哲太郎教授(情報セキュリティー)も、「学内システムは成績なども記録しており大学が管理するもの。たとえ在学生が承諾しても部外者が利用してよいものではない」と指摘する。

 

他の大学でも使用停止などを呼びかける動きが相次いでいる。上智大は先月末、大学のホームページで「本学とは一切関わりない。個人情報の流出に直結し、非常に危険」などと警告。青山学院大も今月、アプリの使用停止と削除、パスワード変更を求めた。

 

同社は17日、ホームページで「学生IDとパスワードは当社のサーバーを経由しておらず、当社が取得・保持することはない」とのコメントを出した。代表取締役の立命館大4年、芳本大樹さん(25)は「開発段階では時間割の表示に必要な情報しか見ていない。アプリの安全性を事前に大学側に説明すべきだった」と話す。今後は機能の追加や課金を計画しているという。

 

情報セキュリティ大学院大学の湯浅墾道教授(情報法)は、「開発に協力する学生も、利用する学生も、学内システムの安全性が脅かされる危険を理解していない」と指摘。流通科学大の清水信年教授(マーケティング論)は、「大学は学生のアイデアを表彰して終わるのでなく、法令や技術面など実用化への課題を克服するための支援もしてほしい」と話している。










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