2017年大学入試センター試験問題

倫理・政治・経済

論 理 ・ 政 治 ・ 経 済

( 解答番号

 

  

 

 

第 1 問
以下は、大学生 A と B の会話である。これを読み、下の問い(問 1 ~ 5)に答えよ。(配点 14)

 

 

A:最近話題の映画を(み)に行ったけれど、命の尊さっていうテーマはいいのに、中身はいろんな名作を継ぎ接ぎしただけで、がっかりしたなあ。

 

B:継ぎ接ぎ自体は悪くないと思うよ。何をどこから選んでくるのか、それをどうアレンジするのか、そのアイディア自体はオリジナルなんだから。

 

A:それでも、他人のアイディアに頼っていることには変わりないよ。できあいのアイディアに頼らずに自力で頑張った人間だけが、しっかりした自己を確立することができる。そういう人が a 芸術家 こなれるんだと思うな。

 

B:個人の力を過信しているなあ。使えるものは何でも使うべきだよ。例えば、映像でもサウンドでも、テクノロジーの力を借りれば、表現の幅も(ひろ)がるしね。
A:規格化されたテクノロジーに頼っていたら、型にはまった発想にしかならないよ。その現実から b 逃避 していたら、真の芸術なんて生まれないよ。

 

B:真の芸術かどうかなんて、どうでもいいよ。いい作品だったら c インターネット なんかでも評判が拡がっていくだろうし、それで十分じゃないのかな。

 

A:ネットでは独り言をつぶやくか、仲間内で(な)れ合っているだけでしょ。自分と考えの違う人たちとも、意見をやりとりすることが大事だと思うな。

 

B:だからこそネットをもっと使うべきじゃないの?ネット上なら世界中の人と意見を言い合えるんだから、とっても d 民主的 で、いいと思うけれどね。

 

A:いや、ネットで流れている評判は、そう簡単には信じられないなあ。実際個性のない作品であっても、結構たくさんの人たちに受けたりするわけだから。

 

B:同じ世代なのに頭が堅いね。受け手を e 大衆 と見下すべきじゃないよ。作品に意味を与えるのは受け手だし、受け手の役割は思った以上に大きいよ。

 

A:たいていの人は、メディアから情報を受け取って消費しているだけだよ。

 

B:消費しているだけでも目は肥えていくし、優れた作品に刺激されて自分が作り手になることもある。そういう可能性をもっと考えてもいいと思うな。

 

問1 下線部 a に関連して、次の ア ~ ウ は、美術の分野で活躍した芸術家の作品と思想についての説明であるが、それぞれ誰のものか。その組合せとして正しいものを下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

ア 代表作「春」、「ヴィー ウナスの誕生」などで、躍動する生命と自由に生きる人間の美を生き生きと描き出し、人文主義の精神を体現した。

 

イ 坐禅で得た寂静の境地を表現したとされる山水図などの作品で、墨の濃淡だけで枯淡や幽玄の美を描き、水墨画を日本において大成した。

 

ウ ナチス ・ ドイツによる 一般市民への無差別爆撃を描いた壁画「ゲルニカ」を、発表し、人類の引き起こす戦争の悲惨さや残虐さを告発した。

 

セザンヌ 尾形光琳 ゴーギャン
セザンヌ 尾形光琳 ピカソ
セザンヌ 雪 舟 ゴーギャン
セザンヌ 雪 舟 ピカソ
ボッティチェリ 尾形光琳 ゴーギャン
ボッティチェリ 尾形光琳 ピカソ
ボッティチェリ 雪 舟 ゴーギャン
ボッティチェリ 雪 舟 ピカソ


 

問2 下線部 b に関連して、防衛機制としての逃避に当てはまる事例として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 本当は好意をもっているクラスメートに、わざと意地悪なことを言ったり、無関心を装って冷たい態度を取ったりする。

 

② 溺愛していた一人息子が海外留学に出かけてしまって寂しくなった夫婦が、代わりに小犬を飼うことで心の隙間を埋めようとする。

 

③ 自分がいつまでもレギュラー選手になれないのは、自分のせいではなく、選手の実力を把握できていない監督のせいだと考える。

 

④ 部活動が苦痛になってきた生徒が、普段は何ともないのに部活動の時間が近づくと体調を崩し、このところ部活動を休んでいる。


 

問3 下線部 c に関して、次の図は、平成25年の1年間にインターネットを利用した成人について、世代別利用目的・用途をまとめたものである。図から読み取れることとして最も適当なものを次ページの①~④のうちから一つ選べ。

 

① 当てはまると回答された割合を表す数値は、すべての世代で、項目エが最も低く、2番目に低いのが項目 ウ、3番目が項目 イ であり、項目 ア が最も高い。 このことから、いずれの世代でも、遊び・娯楽以外でインターネットを利用する傾向が強いと言える。

 

② 当てはまると回答された割合が最も高い項目 ア と最も低い項目 エ の間の数値の差は、20~29 歳、30~39 歳、40~49 歳、50~59 歳、60 歳以上の順に 大きくなっていく。 このことから、世代が高くなるにつれて、インターネットの利用目的・用途が特定の項目に集中していくと言える。

 

③ 40~49 歳、50~59 歳、60 歳以上のいずれの世代でも、項目 ア を除き他の 3 項目の数値が 50 %未満である。 このことから、これら三つの目的・用途での利用者の割合が少ない 40 歳以上の各世代でも、インタ ーネット利用者の半数以上が電子メールを利用していると言える。

 

④ 30~39 歳、40~49 歳、50~59 歳、60 歳以上の世代では、項目 イ の数値と項目 ウ の数値が、いずれも項目 エ の数値の2倍以上となっている。 このことから、30 歳以上の各世代では、インターネット利用者の間で、芸術や社会の動向に注目する傾向が強いと言える。


 

問4 下線部 d に関連して、民主化と平等の進展がもたらす問題点について政治思想家トクヴィルが論じた次の文章を読み、その内容の説明として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。

 

境遇がすべて不平等であるときには、どんなに大きな不平等も目障りではないが、すべてが斉一ななかでは最小の差異も衝撃的に思える。完璧に斉一になるにつれて、差異をみることは耐え難くなる。平等への愛着が平等そのものとともに増大するのは、だから当然である。…民主的な国民は、こうして最小の特権にも憎悪の念を募らせつづけ、これに反対せずにはいられない。しかし、奇妙なことに、この憎悪の念に後押しされて、あらゆる政治的権利が国家の唯一の代表者の手に次第に集中するようになる。この主権者(権力者)は当然あらゆる市民のうえに立つ存在であり、いかなる市民の嫉妬をかうこともない。同等の者たちから特権を奪って、それをすべてこの主権者に預けるのを、誰もがよしとする。民主的世紀の人間は、自分と同等の隣人に従うことに、極度の嫌悪感を覚えざるを得ない。

(『アメリカのデモクラシー』より)

 

① 各人のおかれた境遇の平等が進むにつれ、人は他者との小さな差異に拘泥し、自分と異質な人を憎悪して視野から排除するようになるが、自分自身が権力者に支配されること自体は、ことさら疑問に思わないようになる。

 

② 民主化が進展して各人の境遇が平等になると、かえって人は他者との差異が気になり、自分以外の人が自分と同等であることを憎悪するようになるので、権力者がその人たちから権利を奪うことをよしとするようになる。

 

③ 各人のおかれた境遇の平等が進むにつれ、人は他者との差異に敏感になり、万人の完全な平等を追い求めるようになるが、同等の人間に支配されるのを忌避するあまり、強大な権力の支配に進んで身を委ねるようになる。

 

④ 民主化が進展して各人の境遇が平等になると、人は自己と他者の差異を手がかりにして、自分と同等の人だけを自分の隣人として認めるようになり、権力者に特権が集中することになっても気にならないようになる。


 

問5 下線部 e に関して、次の文章は、大衆社会をめぐる問題について説明したものである。文章中の

に入れる語句の組合せとして正しいものを下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

19世紀以降にデモクラシーが拡大するに伴って、大衆社会をどう評価するかが思想上の課題となる。例えば、平均化・画ー化された人間に

を対置したキルケゴールは、大衆社会批判の先駆けの一人でもあろう。彼は、世間の風潮に流される生き方を(しりぞ)け、人は究極的には神の前の

として生きなければならないと考えたのだった。一方、20 世紀にはフランクフルト学派によって、ファシズムを支える大衆の

的な性格(パソナリティ)が問題視されたが、それと同時に娯楽映画やポピュラー音楽などの大衆文化も、こうした状況を助長するものとして批判された。アドルノらによれば、規格化された大衆文化を漫然と消費している限り、人間の意識は画らだ。とはいえ、ホイジンガの言うように

に文化の根源があるのだとすれば、芸術活動を一切排除した生もまたあり得ない。大衆社会状況のもとで芸術文化の可能性を探ることは現代の重要な課題の一つだと言えよう。

 

a 超越者 b 権威主義 c 工 作
a 超越者 b 権威主義 c 遊 び
a 超越者 b 全体主義 c 工 作
a 超越者 b 全体主義 c 遊 び
a 単独者 b 権威主義 c 工 作
a 単独者 b 権威主義 c 遊 び
a 単独者 b 全体主義 c 工 作
a 単独者 b 全体主義 c 遊 び

 


 

 

第 2 問
次の文章を読み、下の問い(問1 ~ 7)に答えよ。(配点 18)

 

日本では、広く外来の思想や文化が受容されてきたが、人々はそこからさらに、自国にとどまらず、他国とも共有し得る様々な思索を展開し、新たな知見を生み出してきた。ここではそうした先人たちの思想的営みを振り返ってみよう。6 世紀ころに伝来した a 仏教 は、奈良時代には、朝廷のもとで国家を鎮護するという役割を担っていた。平安時代になると、誰もが仏になれるという考えに基づき個人の救済が重視されるようになった。こうしたなかで、源信は『往生要集』を著し、外来の数多くの仏典に依拠しつつ、地獄や極楽の様相を描き出し、浄土への往生を説く教えこそがすべての人にとってふさわしいと論じた。『往生要集』は宋にも伝えられたがそうした動きには、仏法のもとではすべての人が平等であるとし、 b 万人の救済 を願う源信の考えも影響を与えていた。江戸時代には、世界や人間のあり方を体系的に説いた c 朱子学が、現実の秩序を重視する人々に広く学ばれるようになった。このような朱子学を批判した荻生祖棟は、古代中国の聖人が天下を安定させるために制作した道に、d 儒学 の本質があると考え、それを学ぶ方法として古文辞学を唱えた。この方法により、海を越えて異国の地でも評価される『論語』解釈が生み出された。また、古文辞学は、文献の厳密な考証・校訂を尊ぶ気運を醸成し、 e 古典の発見を促した。こうした動きのなかで、中国では散逸した書が日本で見いだされ、清の知識人にも注目された。近代に至り、仏教や儒学とは異なる西洋の思想や文化が本格的に紹介され、西洋文明を称賛する風潮が生じた。岡倉天心は、幼少より英語を学び、西洋の文化にふれつつも、東洋に対する西洋人の無理解に警鐘を鳴らし、西洋・東洋に共有されている価値観を探究した。英文で著した『茶の本』において天心は、西洋でも尊重されている茶に注目し、道家や禅の思想を基に形成された日本の茶道の本質を、 f 日常生活 のなかにある美を崇拝する営みに見いだした。先人たちは、外来の思想や文化を一方的に受容するだけではなく、それらの捉え直しや批判的検討を通して、日本という場にとどまらず、他国とも共有し得る多様な思索を展開してきた。こうした営みは、グローバル社会のなかで生きる一つの指針を私たちに示しているのではないだろうか。

 

問1 下線部 a に関連して、仏教が生まれた古代インドで展開された思想についての記述として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① ウパニシャッド哲学は、真の自己とされるアートマンは観念的なものにすぎないため、アートマンを完全に捨てて、絶対的なブラフマンとー体化するべきであると説いた。

 

② バラモン教は、聖典ヴェーダを絶対的なものとして重視していたため、ヴェーダの権威を否定して自由な思考を展開する立場を六師外道と呼んで批判した。

 

③ ウパニシャッド哲学では、人間を含むあらゆる生きものが行った行為すなわち業(カルマ)の善悪に応じて、死後、種々の境遇に生まれ変わると考えられた。

 

④ バラモン教では、唯ーなる神の祀り方が人々の幸福を左右するという考えに基づいて、祭祀を司るバラモンが政治的指導者として社会階層の最上位に位置づけられた。


 

問2 下線部 b に関連して、次の ア ~ ウ は、人々を救いに導く新しい教えを説いた鎌倉時代の人物について説明したものである。その正誤の組合せとして正しいものを下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

ア 法然は、身分や能力に応じた念仏の唱え方を考案し、それぞれの唱え方に応じて異なる浄土に往生すると説いた。

 

イ 道元は、悟りを得るためには、坐禅の修行とともに師から与えられた公案について議論することが必要であると説いた。

 

ウ 栄西は、悟りを得るためには、坐禅の修行と戒律の遵守が必要であるとし、禅の教えが国家の安寧にも役立つと説いた。

 

① ア 正  イ 正  ウ 正

 

② ア 正  イ 正  ウ 誤

 

③ ア 正  イ 誤  ウ 正

 

④ ア 正  イ 誤  ウ 誤

 

⑤ ア 誤  イ 正  ウ 正

 

⑥ ア 誤  イ 正  ウ 誤

 

⑦ ア 誤  イ 誤  ウ 正

 

⑧ ア 誤  イ 誤  ウ 誤


 

問3 下線部 c に関連して、朱子学に関わりのある江戸時代の思想家の説明として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 藤原捏窯は、朝鮮の朱子学から影響を受け、現実の秩序を軽視する仏教に疑問をもち、時期・場所・身分に応じた道徳的実践を説いた。

 

② 山崎闇斎は、自己を修める方法として朱子学で説かれる敬を重視し、君臣関係の絶対性を強調した。

 

③ 貝原益軒は、朝鮮の言語や文化の研究を行い、日本と朝鮮の文化交流に尽力して、国家を超えた普遍的な原理の必要性を述べた。

 

④ 佐久間象山は、アヘン戦争を契機に、それまで信奉していた朱子学を批判し、西洋の道徳と技術を取り入れることの重要性を主張した。


 

問4 下線部 d に関して、儒家の家族観についての記述として適当でないものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 孔子は、祖先に対する祭祀儀礼を批判し、生存している自分の父母や家族を最優先に考えるべきだと説いた。

 

② 『論語』では、父母に対する孝や兄に対する悌といった徳目が軍視され、それらが仁の根幹であると説かれている。

 

③ 孟子は、基本的な人間関係を五倫としてまとめ、「父子」の間には「(しん)」という関係が成立すると説いた。

 

④ 朱子学では個人の修養や国家の安定などとともに家族・親族の人間関係をうまく取り仕切る「斉家」の実践が要請された。


 

問5 下線部 e に関連して、古典を基に日本固有の精神を探究した国学者の説明として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 契沖は、古典を原典に即して読解しようとする実証的な方法により、古代日本の精神を伝える古典として『万葉集』を研究し、その注釈書である『万葉代匠記』を著した。

 

② 荷田春満は、儒学·仏教・神道を通して己の理想的な心のあり方を究明する心学の方法を基にして、古代日本の心を伝える古典として『日本書紀』を実証的に研究した。

 

③ 本居宣長は、『源氏物語』の研究を通して、事物にふれて生じるありのままの感情を抑制する日本古来の精神を見いだし、儒学や仏教などの外来思想によって、その精神が失われたと考えた。

 

④ 平田篤胤は、『古事記』の研究を通して、身分の相違や差別のない日本古来の理想世界を見いだし、儒学や仏教などの外来思想によって理想世界が差別と搾取の世界へ転じたと批判した。


 

問6 下線部 f に関連して、日常の生活に注目して思索を展開した思想家の人として、柳宗悦がいる。彼についての説明として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 名もなき人々の生活に注目することによって確立された民俗学の方法を基に日本の神の原型を探究し、神は海の彼方にある常世国に住み、時を定めて村落を訪れる「まれびと」であると主張した。

 

② 民衆が伝承してきた昔話や習俗のなかに、固有の文化があると考え、文字として残っていない琉球・沖縄の伝承や古歌謡「おもろ」に注目し、沖縄固有の民俗学の確立に尽力した。

 

③ 江戸の庶民のなかで、恋を貫こうとする意気込みやきっぱりと諦める気風が「いき」であるとして尊重されていたことを見いだし、それが日本的な美意識の根幹を成すと主張した。

 

④ 名もなき職人の熟練した手仕事によって作られた日用品のなかに 固有の実用的な美しさがあると考え、それを「民芸」と名付けて、各地の民芸品の収集や再発見を目的とした民芸運動を展開した。


 

問7 本文の趣旨に合致する記述として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 日本の先人たちは、外来の思想や文化にみられる思索を基にしつつ、それらの再解釈や批判的考察を行ってきた。こうした営みを通して、他国とも共有し得るような学問的成果が生み出されてきた。

 

② 日本の先人たちは、外来の思想や文化の普遍的な思考様式を肯定的に受けとめ、模倣することに専心してきた。こうした営みによって、他国の思想や文化を受容することを重んじる学問的な態度が生み出されてきた。

 

③ 日本の先人たちは、外来の思想や文化を一方的に受容するだけでなく、それらを自国の価値観に基づいて批判的に検討してきた。こうした思索を通して、先人たちは日本固有の思想や文化を見いだしてきた。

 

④ 日本の先人たちは、外来の思想や文化を一方的に受容するだけでなく、それらを再解釈してきた。こうした思索によって、先人たちは自国と他国の思想や文化を比較し、外来思想の有する普遍性を称賛してきた。


 

 

第 3 問 
次の文章を読み、下の問い(問1 ~ 7)に答えよ。(配点 18)

 

学問のあり方として、文系と理系はおのおの独立したものだと考えてはいないだろうか。だが、a 古代ギリシア ・ ローマ において、生き方の探究者と自然の探究者はともに哲学者と呼ばれた。近代以降も西洋では、自然の研究との密接な関係のなかで人間の精神や社会が考察されてきたのである。その流れを追ってみよう。人文主義者や b モラリスト の活躍にみられるように近代思想の中心的な課題の一つに人間性の探究がある。この探究は、古典の研究に促される一方、新たに興隆した合理的な自然の研究から生じた課題も抱えていた。例えば機械論的自然観においては、人間も無限の宇宙の一点にすぎず、因果法則が支配する世界では自由も存在し得なくなるようにみえる。しかし、優れた自然科学者でもあったパスカルは、自然のなかでは(あし)のように弱い人間にも、思考によって宇宙を包む偉大さがあると説いた。また、カントは自然とは区別された道徳の領域において、自然界の必然性に(とら)われない自由の可能性を追求した。自然の秩序のなかで精神を独自に働かせる人間像が打ち出される一方、自然界と同様の法則性を人間の社会や歴史にも発見しようとする思想もある。エンゲルスはマルクスとともに、歴史にも法則的説明を与え、富の c 不平等 を告発する社会主義思想を「空想から科学へ」と進展させることを試みた。また、コントはd 神学 や形而上学に訴えずに社会を含む全事象に法則を見いだす実証的段階に至ることが人類の進歩だとした。自然の変化も人間の歴史も一様に法則的に捉えるような見方に対して、自然と人間のより直接的な関わりに目を向けようとする動きもある。ベルクソンは法則主義的・機械論的な見方とは異なる、 e 有機体や進化に注目する自然観 に基づいて、より直観的な仕方で、人間の生命のあり方を把握しようとした。また、 f 現象学 においては、世界をもっばら自然科学的に捉えようとする姿勢を見直し、日常的な生活経験における自然とのより具体的な接触に立ち返ることが目指された。このように人間の精神や社会をめぐる知の探究は、自然をめぐる探究にそのつど応答しながら進展してきた。私たちも、文系・理系の区別に囚われず、幅広い視野に立って、自然と関わりつつ生きる人間を探究していく必要があろう。

 

問1 下線部 a に関連して、古代ギリシア・ローマにおける哲学者についての記述として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① ヘラクレイトスは、万物の根源を火であるとしたうえで、「万物は流転する」と唱え、その絶えず変化する様子に法則性は認められず、調和した秩序は見せかけのものにすぎないと主張した。

 

② パルメニデスは、論理的思考に基づいて、在るものは常に在ると説き、世界における変化や生成は見かけだけの現象にすぎず、存在するものはただ一つであって、生成も消滅もしないと主張した。

 

③ プラトンは、この世に生まれた人間の魂を、感覚の世界に囚われ、イデアを忘却してしまったものと考え、イデアの世界はいかなる手段によっても知ることができないとする二世界説を唱えた。

 

④ マルクス・アウレリウスは、ローマ皇帝であると同時に、自らも哲学を修め、この世の現象は原子の不規則な動きによって構成されているという原子論の考えを発展させた。


 

問2 下線部 b に関して、モラリストを代表する人物にモンテーニュがいる。彼の思想の説明として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 人間は、「私は何を知っているか」と問い、謙虚に自己吟味を行うことによって、自らに潜んでいる偏見や独断から脱することができる。

 

② 人間は、単に行為するだけにとどまらず、行為の正不正に関する道徳的判断をも下す存在だが、この判断は知性ではなく感情の働きである。

 

③ 人間は、生の悲惨さを自ら癒すことができないために、娯楽や競争などの気晴らしに逃避して、気を紛らわそうとする。

 

④ 人間は、自由意志に従うと「堕落した下等な被造物」にもなり得るため、自由意志の上位に信仰をおくことによって正しき者になる。


 

問3 下線部 c に関連して、富の格差をはじめとする様々な不平等を思想家たちは 問題にしてきた。 次の ア ~ ウ は、そうした思想家たちの説明であるが、それぞれ誰のことか。 その組合せとして正しいものを下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

ア 敬虔(けいけん)なキリスト教徒にして人文主義者(ヒューマニスト)である立場から、金銭や富が人間よりも大切にされる社会を批判し、貨幣や私有財産のない理想社会を描く作品を発表した。

 

イ 男性優位の文化・習慣が女性に特定の生き方を強いていることを明らかにし、「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」と主張して、以後のフェミニズム運動に影響を与えた。

 

ウ 自由競争によって生じる所得や地位の不平等は、社会の最も不遇な人々の境遇の改善につながる限りで認められるとする格差原理を主張して、公正としての正義を構想した。

 

トマス ・ モア ボーヴォワール ロールズ
トマス ・ モア ボーヴォワール サンデル
トマス ・ モア シモーヌ ・ ヴェイユ ロールズ
トマス ・ モア シモーヌ ・ ヴェイユ サンデル
サン=シモン ボーヴォワール ロールズ
サン=シモン ボーヴォワール サンデル
サン=シモン シモーヌ ・ ヴェイユ ロールズ
サン=シモン シモーヌ ・ ヴェイユ サンデル


 

問4 下線部 d に関連して、神と教会についてのアウグスティヌスの考えとして最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 教会が指導する聖書研究を通して信仰を深めることにより、神の恩寵を得ることができると考えた。

 

② 人は神の恩寵によらなければ救われないと主張し、教会は神の国と地上の国を仲介するものだと考えた。

 

③ 教会への寄進といった善行を積むことにより、神の恩寵を得ることができると考えた。

 

④ 人は神の恩寵によらなければ救われないと主張し、贖宥状の購入による救済を説いた教会の姿勢は間違っていると考えた。


 

問5 下線部 e に関連して、有機体や進化という考え方に注目して人間を考察した思想家にデューイがいる。次の文章は、彼の思想についての説明である。

に入れる語句の組合せとして正しいものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

デューイは、人間も他の生物と同じように、有機体として環境に適応することで生き成長すると考えた。彼の提唱する

によれば、人間に特有な知性もまた、抽象的な真理を発見するためにではなく、日常生活上の苦境や問 題への対処を実り豊かにし、その解決に役立つためにある。彼は、環境との相互作用を通じて個々の問題解決を図り、未来を展望する能力を

と呼び、この能力を発揮することで、人は過去の習慣を修正し、自我を未来に向けて形成できるとした。さらに、デューイは、こうした人間観に基づいて、従来の暗記中心教育に対して、問題解決型教育を新たなモデルとした教育改革思想も打ち出している。著書

で主張されるように、彼は学校での学習も、学校のそとで起こっている社会の問題の解決に関わるべきだと考えた。

 

a 道具的理性 b 創造的知性 c 『幼児期と社会』
a 道具的理性 b 創造的知性 c 『民主主義と教育』
a 道具的理性 b 投 企 c 『幼児期と社会』
a 道具的理性 b 投 企 c 『民主主義と教育』
a 道具主義 b 創造的知性 c 『幼児期と社会』
a 道具主義 b 創造的知性 c 『民主主義と教育』
a 道具主義 b 投 企 c 『幼児期と社会』
a 道具主義 b 投 企 c 『民主主義と教育』


 

問6 下線部 f に関して、代表的な現象学者の考えの説明として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① メルロ=ポンティによれば人間は気がつけば既にこの世界に投げ出されている。現象学は、この根本事実に基づいて、誕生とともに死へと向かう存在としての人間を分析する学問的営為である。

 

② フッサールによれば実在すると私たちが素朴にみなしているものは、私たちの意識との関わりにおいて存在している。現象学は、意識にあらわれる現象をありのままに記述する学問的営為である。

 

③ メルロ=ポンティによれば、世界には何らの意味も目的もなく、一切は偶然的に存在している。現象学は、そうした不条理な世界のなかにあっても人生の価値を問いながら真摯に生きることを目指す立場である。

 

④ フッサールによれば、自然的態度において人は世界の存在を信じている。現象学は、そうした自明な判断を括弧に入れることによって、あらゆる物事の妥当性を懐疑して、学問の絶対的確実性を否定する立場である。


 

問7 本文の趣旨に合致する記述として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 近代以降の西洋の思想家たちは、自然と精神の探究を調和させたり、自然の探究で得られた知見や方法を社会の事柄にも適用したりしてきた。 こうした歴史に倣い、最も確実な自然科学を模範として、精神や社会に関する学問を再編することで、文系・理系の乖離を是正することが必要である。

 

② 近代以降の西洋の思想家たちは、自然と精神の探究を調和させたり、自然の探究で得られた知見や方法を社会の事柄にも適用したりしてきた。 しかし、自然と精神や社会とでは領域が異なるのであり、人間に対する考察の独自性を際立たせて、文系・理系の区分を設定し直すことが肝心である。

 

③ 近代以降の西洋の思想家たちは、自然に対する探究を活用したり、さらに深めたりすることで、人間の精神や社会についての考察を進めてきた。 こうした歴史に倣い、文系・理系の区別を自明視せずに、自然と切り離せない存在としての人間を探究する学問のあり方を求めることが重要である。

 

④ 近代以降の西洋の思想家たちは、自然に対する探究を活用したり、さらに深めたりすることで、人間の精神や社会についての考察を進めてきた。 自然科学の展開が人間に多大な影響を与え始めた現在だからこそ、文系・理系の枠を超えて、時代に左右されない人間の本質論が求められている。


 

 

第 4 問
次の文章を読み、下の問い(問1 ~ 8)に答えよ。(配点22)

 

民法は私たちの生活に深く関係する法律である。民法は

の代表的な法律であり、財産関係や家族関係を扱っている。財産関係については、たとえば契約に関する規定がある。 a 市場 でのモノの売買などの際には契約が結ばれる。コンビ二やスーパーでの日常的な買い物も契約の一種である。このように、 b 経済主体 にとって契約は不可欠なものである。家族関係については、親子関係や結婚などの身近な事柄に関する定めが設けられている。民法が日本で制定された経緯を理解するには明治初期の日本の状況に関する知識が必要である。当時の政府は、西洋列強との間に結んだ不平等条約の改正をめざしていた。そのために、日本が西洋諸国と同様の法制度をもつ c 「文明国」 であることを示す必要があったのである。こうした事情から、当時の西洋諸国の法を参考にして、民法をはじめとする各種の法令が制定された。ただ、当初作成された民法の家族関係の部分に対しては日本の「忠孝」の精神が滅ぶという批判がなされて論争が起こり、家の長である戸主が強い権限をもつ制度が最終的に作られた。しかし第二次世界大戦後その民法の家族関係の規定に大きな修正が必要になった。連合国の占領下で d 日本国憲法の制定 をはじめとする種々の改革がなされ、それに伴い民法についても e 国会 で改正が行われた。これにより、戸主制度が廃止され、個人の尊厳と両性の本質的平等とを基本とする家族制度が定められた。その後の f 経済発展 の時代を経て財産関係や家族関係は変化したが、それに合わせて民法の内容も補完されたり修正されたりしてきた。財産関係については、たとえば企業と消費者との間の情報や交渉力の格差から生じるg 消費者問題 が深刻化したため、民法の内容を補う新たな法律が制定された。家族関係については、たとえば婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法の規定が修正されたが、これは家族形態の多様化やそれに伴う国民の意識の変化などをうけて裁判所がこの規定を違憲としたことによる。法律を学んでその内容を深く理解するためには、このように

にも注意を払うことが重要になる。

 

問1 本文中の空欄

に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① ア 社会法  イ 法律の正確な文言

 

② ア 社会法  イ 歴史的な背景や社会のあり方

 

③ ア 私  法  イ 法律の正確な文言

 

④ ア 私  法  イ 歴史的な背景や社会のあり方


 

問2 下線部 a についての記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 完全競争市場では、需要者と供給者の間に情報の非対称性がある。

 

② 寡占市場では、単一の企業が製品やサービスの供給を行う。

 

③ 消費財市場では、贅沢(ぜいたく)品の需要の価格弾力性は生活必需品より大きい。

 

④ 労働市場では、求職者数が需要量であり求人数が供給量である。


 

問3 下線部 b に関連して、次の図は、三つの経済主体間における経済循環の基本構造を示したものである。図中の矢印は財やお金の流れを示している。図中の A ~ C に当てはまるものの組合せとして最も適当なものを 下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 

A 資本 B 租税・社会保険料 C 社会資本
A 資本 B 社会資本 C 租税・社会保険料
A 社会資本 B 資本 C 租税・社会保険料
A 社会資本 B 租税・社会保険料 C 資本
A 租税・社会保険料 B 資本 C 社会資本
A 租税・社会保険料 B 社会資本 C 資本


 

問4 下線部 c として認められるためには、議会をもつことも重要であった。次の A ~ C は各国の議院の名称であり、ア ~ ウ はそれらの本会議場の特徴や歴史に関する記述である。A ~ C と ア ~ ウ との組合せとして正しいものを下の①~⑥のうちから一つ選べ。

 

A 日本の衆議院

 

B イギリスの下院(庶民院)

 

C フランスの下院(国民議会)

 

ア 議席は、扇形に配置されている。そして、議員席より高い位置に、閣僚席が議員席と対峙する形で置かれている。このような議席の配置は、かつてこの国の議会が協賛のための機関とされていた、外見的立憲主義の時代から続いているものである。

 

イ 議席は、中央の議長をはさんで、与党と野党の席が向かいあって配置されている。そして、最前列の席の少し前には、踏み越えてはいけないという線が引かれている。これは、与党と野党が真っ向から対立しても、暴力でなく討論で決定を行う場が議会であることを象徴している。

 

ウ 議席は、扇形に配置されている。人は自由で平等なものとして出生するという考え方を含む宣言が議会で採択された頃、議長席からみて左側にこうした考え方をさらに推し進めようとする者たちが座り、右側に旧体制の維持を望む者たちが座った。これが左翼右翼という言葉の語源となった。

 

① Aーア   Bーイ   Cーウ 

 

② Aーア   Bーウ   Cーイ 

 

③ Aーイ   Bーア   Cーウ 

 

④ Aーイ   Bーウ   Cーア

 

⑤ Aーウ   Bーア   Cーイ 

 

⑥ Aーウ   Bーイ   Cーア 


 

問5 下線部 d について、日本国憲法の制定過程や基本原理に関する記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 日本国憲法によって列挙された基本的人権は、法律の範囲内において保障されている。

 

② 日本国憲法は、君主である天皇が国民に授ける民定憲法という形で制定された。

 

③ 日本国憲法は、憲法問題調査委員会の起草した憲法改正案(松本案)を帝国議会が修正して成立した。

 

④ 日本国憲法における天皇は、国政に関する権能を有しておらず、内閣の助言と承認に基づいて国事行為を行う。


 

問6 下線部 e についての記述として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 国会において憲法の規定に基づき内閣不信任決議案が可決された場合、内閣は総辞職か衆議院の解散かを選択することになる。

 

② 国会に設置されている委員会は、法律案の審議のために公聴会の開催が義務づけられている。

 

③ 国会は弾劾裁判所を設置する権限を有しており、弾劾裁判によって国務大臣を罷免することができる。

 

④ 国会の憲法審査会は、法律や命令が憲法に違反するかしないかを決定するために設置されている。


 

問7 下線部 f に関連して、次の図は、日本の国全体の正味資産である国富とその主要な構成項目である有形固定資産(住宅・建物・機械・設備など)、有形非生産資産(土地など)および対外純資産の推移を示している。図から読みとれる内容として最も適当なものを、下の①~④のうちから一つ選べ。

 

① アメリカ発の世界金融危機の後、国富は過去最高額に達した。

 

② バブル経済の時期、国富が急増した最大の要因は有形非生産資産の増加であった。

 

③ バブル経済の崩壊後、有形固定資産と有形非生産資産はともに減少傾向に あった。

 

④ プラザ合意成立の時期、有形固定資産は国富の最大構成項目であった。


 

問8 下線部 g に関連する記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 消費者基本法により、食品の安全性を評価する国の機関として食品安全委員会が設置された。

 

② 貸金業法が改正され、消費者金融などの貸金業者からの借入れ総額を制限する総量規制が撤廃された。

 

③ 特定商取引法では、消費者が一定期間内であれば契約を解除できるクーングオフ制度が定められている。

 

④ グリ ーン購入法により、消費者は環境への負荷の少ない製品を優先的に購入することが義務づけられている。


 

 

 

 

第 5 問
次の文章を読み、下の問い(問1 ~ 5)に答えよ。(配点 14)

 

社会は、さまざまな考え方や利害関係を有する人々によって構成される。そうした利害を調整し、社会秩序を形成維持するために、政治が必要となる。17 世紀から 18 世紀にかけて発生した一連の市民革命によって絶対王政が倒され、政治権力から a 個人が自由になる権利 が確立した。その後、国民の意思に基づいて政治を行う民主政治が次第に実現していった。ただし、第一次世界大戦後にファシズムが台頭したり、第二次世界大戦後に政治的安定を掲げて独裁の形態をとる国が現れたりするなど、民主政治が順調に広まったわけではない。しかし、1980 年代になると、民主主義よりも

を優先する政治体制をとる、いわゆる開発独裁政権が相次いで崩壊した。また、冷戦末期には東欧で民主化運動が高まった。2010 年代初頭には、反独裁を掲げる

と呼ばれる運動が中東から北アフリカで発生した。その後も、民主化を求める動きは各地で続いている。民主政治を行う際国政のすべてに国民が直接関与することは困難である。それゆえ、多くの国では国民が選挙で自らの代表を選び、その代表が政治を行う b 間接民主制 がとられている。ただ、人々の価値観が多様化する中で、選挙では c 人々の意見の表出や反映が十分にできないのではないかとの懸念も生じている。政治に対する不信や不満が高まり、投票率が低下している国は少なくない。他方、深刻な f 社会問題 が頻発し、人々の利害関係がいっそう複雑に入り交じる中で d 政治に求められる役割はむしろ大きくなっている。いかにして人々の政治不信を払拭していくのかということがいまほど問われているときはない。

 

問1 本文中の空欄

に当てはまる語句の組合せとして最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① ア 環境保全  イ プラハの春

 

② ア 環境保全  イ アラブの春

 

③ ア 経済発展  イ プラハの春

 

④ ア 経済発展  イ アラブの春


 

問2 下線部 a に関連して、日本における自由権の保障をめぐる記述として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 最高裁判所は、三菱樹脂事件で、学生運動にかかわった経歴を隠したことを理由とする本採用の拒否を違憲と判断した。

 

② 日本国憲法が保障する経済活動の自由は、公共の福祉との関係で制約に服することはない。

 

③ 最高裁判所は、津地鎮祭訴訟で、公共施設を建設する際に行われた地鎮祭の費用を地方自治体が支出したことについて違憲と判断した。

 

④ 日本国憲法が保障する表現の自由は、他人の権利との関係で制約に服することがある。


 

問3 下線部 b を補完すべく、現在の日本において、直接民主制の手法が一部取り入れられている。そうした例の一つである憲法改正手続に関する記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 憲法改正に関する国民投票法は、日本国憲法と同時に制定された。

 

② 憲法改正に関する国民投票法は、投票年齢を満20歳以上に引き下げた。

 

③ 憲法改正の承認には、国民投票において、その過半数の賛成が必要とされている。

 

④ 憲法改正の発議には、衆参両議院において、それぞれ総議員の4分の3以上の賛成が必要とされている。


 

問4 下線部 c に関連して、次の図は、選挙やデモなど(デモ、陳情、請願)が、国の政治に「影響を及ぼしている」と回答した人の割合を示したものである。この図においである出来事の後の最初の調査とその前回の調査との比較を行うときその記述として正しいものを、下の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 小選挙区比例代表並立制の下で初めて行われた選挙後の最初の調査では、選挙が国の政治に「影響を及ぼしている」と回答する人の割合が、増加した。

 

② 郵政民営化が争点となった選挙後の最初の調査では選挙が国の政治に「影響を及ぼしている」と回答する人の割合が、増加した。

 

③ 国民の反対が強かった消費税導入後の最初の調査では、デモなどが国の政治に「影響を及ぼしている」と回答する人の割合が、増加した。

 

④ 金権政治への批判が高まったロッキー ド事件後の最初の調査では、デモなどが国の政治に「影響を及ぼしている」と回答する人の割合が、増加した。


 

問5 下線部 d に関連して、住民に身近な政策の多くは地方自治体が担っている。日本の地方自治の制度に関する記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 地方自治体の首長は、地方議会が議決した予算に対して拒否権を行使することができない。

 

② 地方自治体が独自に行う住民投票において、永住外国人の投票が認められた事例はない。

 

③ 有権者は、必要な署名数を集めた上で地方自治体の首長に対して事務の監査請求を行うことができる。

 

④ 国による情報公開法の制定以前に、地方自治体においで情報公開に関する条例が制定されたことがある。


 

 

 

第 6 問
次の文章を読み、下の問い(問 1 ~ 5)に答えよ。(配点 14)

 

私たちが経済活動を行う上で貨幣は必要不可欠なものである。そもそも各国において複数の流通貨幣、すなわち通貨が存在していたが、19 世紀以降には多くの国が単一の自国通貨を定めるようになった。たとえば日本では、19 世紀後半に市中銀行の銀行券の新規発行を禁止し、日本銀行を唯一の発券銀行とした。このように中央銀行が国内唯一の発券銀行となった結果、中央銀行は自国通貨の発行量などをめぐり国内の a 金融 に対して影響を与えることが可能になった。とくに第二次世界大戦後から、 b 物価 の安定とともに雇用や景気などに配慮した金融政策が実施されてきた。しかし、変動相場制への移行後には、各国の通貨制度が動揺する事態も多くみられるようになった。たとえば c 財政 の運営が行き詰まった国の通貨への信用低下が国際的な資本移動を生じさせ、深刻な通貨危機に発展することもあった。こうした動揺とともに国家と貨幣との関係も変化し、貨幣のあり方は多様化しつつある。 d ユーロ のように複数の国で用いられる通貨や、ビットコインや地域通貨などの中央銀行が発行にかかわらない通貨もみられるようになった。同一の貨幣が用いられる範囲では e 市場取引 が盛んに行われる傾向にあり、通貨制度の変化は国際経済や地域経済にも影響を与えうる。私たちは、貨幣のあり方について注視し、議論を深めていく必要があるだろう。

 

問1 下線部 a についての記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① 日本では、家計の金融資産のうち現金・預金の占める割合が最も大きい。

 

② 日本では、グローバル化をうけて直接金融から間接金融への移行が進んでいる。

 

③ ノンバンクとは、預金業務と貸出業務を行う金融機関である。

 

④ 信用創造とは、企業が金融機関に債務を滞りなく返済することで追加的な資金調達が可能になることをいう。


 

問2 下線部 b の変動に関する記述として正しいものを次の①~④のうちから一つ選べ。

 

① スタグフレーションとは、不況とデフレーションとが同時に進行する現象のことである。

 

② デフレスパイラルとは、デフレーションと好況とが相互に作用して進行する現象のことである。

 

③ コスト ・ プッシュ ・ インフレーションは生産費用の上昇が要因となって生じる。

 

④ ディマンド ・ プル ・ インフレーションは、供給が需要を上回ることにより生じる。


 

問3 下線部 c に関連して、次の表は、日本における国の一般会計の歳出と歳入との推移を示したものである。この表から読みとれる内容として正しいものを下の①~④のうちから一つ選べ。

 

(単位:兆円)

  1980年度 1990年度 2000年度 2010年度
歳出 43 66 85 92
うち公債費 5 14 22 21
歳入 43 66 85 92
うち公債金 14 6 33 44

(注) 数値は当初予算で、小数点以下を四捨五入している。また、公債費とは国債の元利払いを指し、公債金とは国債発行による収入を指す。
(資料) 財務省 Webページにより作成

 

① 1980年度の公債依存度は20パーセント以下である。

 

② 1990年度の甚礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字である。

 

③ 2000年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字である。

 

④ 2010年度の公債依存度は20パーセント以下である。


 

問4 下線部 d に関連して、次の A ~ D は、ヨーロッパにおける地域統合と共通通貨の導入とをめぐる出来事についての記述である。これらの出来事を古い順に並べたとき 3番目にくるものとして正しいものを下の①~④のうちから一つ選べ。

 

A 欧州経済共同体(EEC)が発足した。

 

B 欧州中央銀行(ECB)が設立された。

 

C ユーロの紙幣および硬貨の流通が始まった。

 

D 欧州連合(EU)が発足した。

 

① A

 

② B

 

③ C

 

④ D


 

問5 下線部 e に関連して、次の図には、ある財の完全競争市場における当初の需要曲線と供給曲線とが表されている。いま、この市場において、均衡点が A から B に移動したとしよう。このような均衡点の変化を生じさせた要因として最も適当なものを下の①~④のうちから一つ選べ。

 


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